大学受験「全落ち」の罠、悲しすぎる
今、本当に毎日、たくさんの国公立大学を不合格になった現役生・浪人生からの問い合わせを受けている。
あまりにもたくさんあるので、6月入学も準備することにした。ただし英語力が英検準一級以上となるので、ちょっとハードルは高い。
全落ちしました
どこも行くところがありません
浪人しようかキリロムに行こうか悩んでいます
まさか全て落ちるとは思いませんでした
あなたの人生だから思いっきり行きたいところで学びなさいと親に言われました
今お金をためています。なんとか入学金を払うので、授業料の支払い調整ができないでしょうか?
国公立大学しか経済的に行けなかったのです
こんな相談が来る。問合せというよりは、私は高3生、浪人生の身の上相談を受けているような状況でもある。とても悲しい。
時には、「日本の大学はどこも受からなかったので、カンボジアなら簡単に行けるかと思って」という若者もいる。残念ながらカンボジアも甘くはない。が、試験をクリアして、目標を持ち直せば頑張れる人もいると思う。
日本の高校生・浪人生を思うと涙が出てくる。自分も若い時はそうだった。「今の成績に見合った大学を前提に、ちょっと難しいところを狙う」といった、目標大学のない若者の大学選びが大多数、という不思議な進路の決め方であるからだ。
なぜ、日本の大学だけを前提にするのか?キリロムはもちろん、マレーシアにも台湾にもオーストラリアにニュージーランドにもアメリカにもイギリスにも中国にも大学はある。そして、日本より安く、かつ、イキルスキルの付く大学が海外にはたくさんある。日本人留学生が成績がよければ奨学金がある大学もたくさんある。ましてや今は、日本人枠の留学生が少なくて入りやすい時代でもあるのだ。そんなこと知っている大人は少ないのも現実で、誰も若者にそんなアドバイスをできないでいる。(少しはしていると思います。)
先日のイチローさんの引退記者会見にも会ったが、「若者はできるだけ早く目標を持ってほしい。そうすれば壁が乗り越えられる」というのは本当にそう思う。しかし、いつ目標が定まるかはわからない、ヒトによって遅かったり、早かったり、がある。
そのためにも若いうちには選択肢を広げるスキル・能力・勇気を持つ必要がある。そんな教育が今の日本では、残念ながらなされていない(と思う)。これは、学校だけでなく、保護者も、塾も同じだと思う。そして、私も2年ほど前までは同じ人種の大人であった。
少しだけ関連する事象として、私の息子(現在高1生)は3月末で日本の高校を退学し、イギリスの高校に転校することを選んだ。我が家もそんなに裕福ではないが、大学でかかるお金を前倒しで、高校で使うことを家族で決めた。高校生のうちに英語が使えるようになれば大学進学の選択肢が確実に広がると確信が持てたからだ。ただ、息子が頑張れなくて日本に戻ることになるというリスクもある。しかし、それは彼の頑張りで決まることで、今親が何と言ってもどうなるものでもなく、彼が頑張るというのを信じるしかないのだ。そして、学校を決めた1か月後に、カンボジアのインターナショナルスクールから空きができたと連絡がきたり、マレーシアのボーディングスクールだと半額から1/3で1年を賄えたと知ったりもしたが、決定時に知っている情報から決めるしかなかったのでこれも運命だろう。
そんなわけで、私は大学受験生本人の背景と、そして、キリロムを探してきた保護者の気持ちと、何も知らない保護者の背景がわかるだけに、「日本の若者の未来の選択肢を広げる」ことに真剣なのである。
先日、イギリスのIB校を卒業した28歳の若者と、うちの息子と3人で食事をした時の、彼が息子にかけた言葉が印象的だった。
「大人に迷惑をかけちゃいけない、とか思わないでいいからね。僕はたくさんの人に助けてもらったし、僕も年下の人たちを助けたい。どんな些細なことでも相談して。大人の時間をつかっちゃいけない、とか思わないでね。大人はみんな、若者のサポートをしたいのだから」と。
涙が出るほどうれしかったのと同時に、私もそんな大人でありたい、と思い直した日であった。
世界中の若者のサポートができるようになりたい、しかし、身近な日本の若者のサポートを最初にしたい。
なので、浪人生や「行きたくない大学に入学予定」の新大学生は、本当に人生を考えてみてほしい。
「今、自分に一番必要なもの」はなにか、を。